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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
佐藤 弓生
あくる朝十八になる玄関の金魚はふっと縦に立ちたり
ないですって言っているのに渡されて脇にはさんで鳴るのを待った
五年もつダイアリー最早あがなはず来年は大学ノートで済ます
前髪を5ミリ切るときやわらかなまぶたを鋏の先に感じる
廃仏となりてふげんは十余年いまだ御身に冥王を抱き
人生を悔いたくはなしわたくしも原爆投下せし老人も
頭[づ]のなかに牛がへる鳴く沼地もち頭のそとがはを理髪されをり
はづかしいから振りまはした花のやうに言ひにくいことなんだけど
志野に活ければ網目透く花貝母春のひと日をうつむきて咲く
他人のみ楽しそうに見ゆるとき花降りきたる心のなかに
暴行に及んだことがない僕の右手で水はひねれば止まる
われの名を記して小さき責任をとりたり窓のオリオン光る
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