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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
佐藤 弓生
一匹の死魚を貰いて一芸を見せるバンドウイルカを目守[まも]る
むかふ向きに何して遊ぶ二人子かチョークで描きし扉を閉ざし
けふもまた「恋は水色」の音にのつてわらびもち売り来たる不可思議
犬を洗ひ枇杷を洗ひて一日[ひとひ]過ぎゆふぐれに子の指を拭へり
ヘッドフォンに青い嵐が流れゆくあの子の現在[いま]はジャズの土砂降り
月に一度四人家族にもどる日のハイビスカスは夜を咲きつぐ
飲食[おんじき]の最後にぬぐう白き布汚されてなお白鮮[あたら]しき
江戸の人あさがおに身上つぶせりと友の失恋聞くごとくいる
はい、恋に捨ててもいいと思[も]ふ命すてずに今も持つてをります
水たまるところをえらび雲はかたちを変えてはあそぶ
檸檬の実 雨に濡れつつゆっくりと明るい檸檬の色になりゆく
たまさかに共棲はじめた六十歳代皆若き日の海市見せ合う
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