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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
大松 達知
寒ゆるぶ日の昏方を停りゐる貨車に靜まりて黑き車輪あり
声閉ぢて石になりたる石なればせめて月光に応答したまへ
感情の水脈(みお)たしかめて読点を加えるだけの推敲なせり
乳飲み子の学童の吾子の笑む写真一枚一枚亡き子のやうに
春山の草のくぼみに忘れたるつるぎを搜し一生(ひとよ)は過ぎつ
デッサンのモデルとなりて画用紙に十字よりわれの顔は始まる
男の体なれど存分の反(そ)りを見すテレビのなかに球蹴るジダン
茸のごと朽ちざりしゆゑ紙のごと燃えざりしゆゑ石と化(な)りし者よ
天穹にふかく浸かりて聴きゐるは宙(そら)を支ふる山々の黙(もだ)
男とはふいに煙草をとりだして火をつけるものこういうときに
母死にて四日泣きゐしをさならが今朝(けさ)登校す一人また一人
ティーバッグのもめんの糸を引き上げてこそばゆくなるゆうぐれの耳
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