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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
松村 由利子
風中に公孫樹ちるなり幸福な王子が金を手放すように
ひとしづく、またひとしづく降り出でて秋に入る雨寒からず静か
今宵ひそと月と野良猫が登場すわが人生の野外舞台に
秋桜、秋明菊に女郎花 わが赤毛のアン恍惚と立つ
この地上にいまだ光の届かざる星の在り処を想ふ秋の夜
圏外のひとはドラマと呼ぶわれの歴史は選挙権なき歴史
糸とんぼ返し縫ひして沼しづかこの遊星にふはりと立てば
はろばろと天心をゆく月見れば月と教へしは父よと思ふ
ブラウスの水玉模様歪むなり老父を残して帰路を急げば
とりあへず「括弧」でくくりかなしみの方程式は解かずに置かう
本棚をずらせばそこに秋風のベーカー街へ續く抜け道
園児らの障害物競争を見つつゐてかかる時涙とどまりあへず
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