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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
江戸 雪
数ならぬふせ屋におふる名の憂さにあるにもあらず消ゆる帚木
朝顔の絶えることなく咲きだして誰のものにもなれない弱さ
男女とは一対にしてはるかなる時間差で置く白き歯ブラシ
一歳のむすめと乗りて鞦韆(しうせん)の果てざるひびきふるへつつ聴く
おとうとが喪服持たざる心配を息ぎれしつつ母は言うなり
無理をしてほしいと言えば会いにくる深夜かなしく薔薇を抱えて
パン選ぶ君のすがたを玻璃越しに見つめるときのわれは行人
あたまでは完璧にきみが描けるからときどきわたしは目を閉じている
しらさぎが春の泥から脚を抜くしずかな力に別れゆきたり
野生種の麦吹く風のつややかに男の腕に体毛そよぐ
花水木いつまでも見上げる君の 君の向こうを一人見ており
科学者純 焚けよと綴りし恋文が展示ケースに曝(さら)されてをり
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