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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
一緒に来た瓦斯が別別の穴を出て湯をそそのかすやうに春の夜
幽霊でございます、と起きてくる祖母のジョークを諫めておりぬ
ちゃんと歩いてここまで来たってわかるから靴は汚れているほうがいい
擦れちがふすべての靴の裏側がやさしく濡れてゐるといふこと
ひるめしにくひし筍ふたきれがうまかつたなと夜半おもひいづ
「ザリガニがザリガニ食った」いきいきと朝のパニックひろがりゆけり
伸び出でしばかりの太き早蕨を山よりもらふ蒔かずにもらふ
母と娘のあやとり続くを見ておりぬ「川」から「川」へめぐるやさしさ
みづからを閉づるちからのまだのこる白木蓮を夕闇つつむ
がんとたたかふ、とはすこしちがふ 星の子をなだめて空へ送り返したやう
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