2017年12月のアーカイブ

十二月二十八日午後二時のひかりのなかに二つの林檎

五十年まったき闇を知らざりき停電の夜も眠れるときも

クローゼット等間隔に吊るされた薄い衣服が息吹き返す

東京を捨ててIT捨てざりき言の葉しるき光森裕樹

みづからが飛べざる高さを空と呼び夕陽のさきへ鳥もゆくのか

もみの木はきれいな棺になるということ 電飾を君と見に行く

残業の夜はいろいろ買ってきて食べてゐるプラスチック以外を

ここしかない、そういう風でなくていい 春の柳が風にふくらむ

九条は好きださりながら降りだせばそれぞれの傘ひらく寂しさ

やや飽きし旅の窓辺においておくみづのかたちはひかりのかたち

言擧げを吾はせねどもうら深く國を憂ふる者の一人ぞ

酔ひ深き夫がそこのみ繰り返す沖縄を返せ沖縄を返せ

凍み豆腐干し柿大根 東北の手仕事に降る雪のつぶてが

もう会はぬ従兄弟のやうなとほさかな みなとみらいとニライカナイは

広辞苑になくて大辞林にある「草生くさふ」よき名の草生さんに会ふ

沖縄は地球(テラ)に抱かるる守宮かもまるくゆらりと(まみ)をめぐらす

幼らの輪のまんなかにめつむれる鬼が背後に負わされし闇

とぎ水を捨てつつ思ふこの島に取り残さるるごときうつし身

戰爭のたびに砂鐵をしたたらす暗き乳房のために禱るも

島檸檬島唐辛子島豆腐そうなんだよな島なんだよな

建築のあいまを燃やすあさやけを飛びながら死ぬ冬の鳥類

メロンパンの袋をあける いつもとは違うあけ方でとても綺麗に

厨辺くりやべの大き水かめ厚氷あつごほり柄杓ひしやくもて割る水くむあな

あら汁の(なんの魚かわからないけどていねいに食べている)あら

風筋にのりてわづかの雪が飛ぶいづへに降りてあまれる雪か

9割はブドウ糖だと聞いたからラムネのように薬をたべた

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