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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2018年7月
氷片がひしめくグラスくちびるをよせるたび鳴り窓にくる蝶
うつしみに鎮痛剤がはなひらく再放送のような部屋にて
その昼はパンと饂飩を食べながら腹八分目あたりで泣いた
男の子はチョコレートパフェを食べてゐる 地に下ろされた鯉のしづけさ
彼はかつて孔雀の羽に火葬場の夜を隠した じっと視ていて
鏡には光がうつり美容師の話のなかでだけ会う女の子
棄てられし自転車にしておのずから錆びたる鉄の究極を目指す
さかむけをちぎり取れない たくさんの水をかければ動かぬ歩道
きみが見えない どんな窓もきみを見るとき鏡になって
藍よりも愛はつめたし 夜の窓を右舷となしてきらめくピアノ
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