コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
松村 由利子
「おぼろ月夜」小声で誰と歌ひしか昼は絵の具のいろの菜の花
停車せるドアより入れるうぐいすの一声乗せて列車動けり
さよならの練習 春になりかけの空の白さにただ手を伸ばす
多忙の中届けくれたる娘の煮物かすかに焦げし香のまつはりて
奔馬なる地球に棲みてわれら百年に満たぬ短き生を終ふるか
被災の子の卒業の誓ひ聞くわれは役に立たざる涙流さず
あまたなる死を見しひとと見ざりしひとと時の経つほど引き裂かれゆく
杉の木が吐息を吐けり春うらら関東平野はくしゃみに震え
なぜ我はひと恋ふるたび春泥のもつとも深きところをめざす
刻みたる大根に振る粗塩に春の大地の水は寄り来る
大和物語百四十七段死ぬことはないだろうに、女
地下鉄のなかを泳げる魚かなザジに小さなくちづけをして
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
…
固定ページ
10
固定ページ
11
固定ページ
12
固定ページ
13
次のページ