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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
澤村 斉美
白鳥の飛来地をいくつ隠したる東北のやはらかき肉体は
真木(まき)ふかき谿よりいづる山水(やまみづ)の常あたらしき生命(いのち)あらしめ
人どよむ春の街ゆきふとおもふふるさとの海の鴎啼く声
心底をのぞけば仏像を彫る男ゐて折々の鑿(のみ)が光れり
美(は)しきもの告げるにはやき仲なれば沈む夕陽は沈ませておく
まもなく君が帰り来る夜を見つめたり あをあをと埃のやうな月光
若ければジゴクノカマブタという花のつまらなく咲く春の畔道
おーい列曲がつてゐる、と言ひかけて 眼(まなこ)閉ぢれば春の日はさす
残されし私物のゆえによみがえる人の名のありすすむ昼飯
春の陽に百人午睡する電車ピンキンピンジン海を横切る
面長き享保の女雛のまなじりにやどれり春の破れた力
挽歌ふたつときの間に成り成りしことのふいに膝頭さむきわれかも
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