コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2013年6月
一九四九年夏世界の黄昏れに一ぴきの白い山羊が揺れている
幼子は幼子をふと見返りぬふたつ家族のすれ違ふとき
残照のなかにおよげり鉄塔のさきの四角の台にひとゐて
たましひが躰のなかで泪する しづかにひととき泣かせてやりぬ
するキスとしてくれるキスどちらかは選んでほしい しないのは無し
午後四時の地下鉄に誰もまどろみて都市の腸(はらわた)しづかに傷(いた)む
詩とはなに 硬く尖れる乳首を舌にもてあそぶときの陶酔
地球は洋梨の形であると書かれをり うふふふふふと読みつつ笑ふ
イカルス遠き空を墜ちつつ向日葵の蒼蒼として瞠くまなこ
夏草のくさむらふかく住む母のポストにま白な封書きている
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
固定ページ
2
固定ページ
3
次のページ