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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
日高堯子
菜の花の黄のかがやける丘にゐる老いらを訪ぬわれを待てれば
菜の花の
黄
きい
溢れたりゆふぐれの素焼の壺に処女のからだに
男をも灰の中より拾ひつる
釘
くぎ
のたぐひに思ひなすこと
三月はぬたといふ
食
じき
春泥によごるるごとき葱が甘くて
近づけば莢豌豆のハウスから雲雀飛び出しわれ囀れり
三月はいつ目覚めても風が吹き原罪という言葉浮かび来
風落ちたやうなしづけさ 大いなる鳴子のこけしがよこたはるのみ
エルニーニョのりもの酔いの語感あり神のゆめみるはるかなる沖
人の肉に酸味ありとぞ折り貯むる蕨やはらかにわが思ふこと
てんたうむしさんおきてーと薄明の小さなる死へ児は呼びかけつ
弥生三日雛の流るる見にゆくときみもさびしきひとりなるべし
方言をよく喋るよと大和野の天に鳴く雲雀を指さしたまふ
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