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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
日高堯子
川端康成
かはばた
のうすきみわろき目をおもふ落ち葉の天に舞ひあがるとき
菊の花ひでて香にたつものを食ふ死後のごとくに心あそびて
菊の花舗道にそひて咲きあふれかをれる垣の継ぎてあらはる
高速道路逆走をして死に至る老いの末路をなんといふべき
しづかにしづかにパトカーは来てアパートの孤独死が処理された秋の日
死と生に断絶おかぬ芒らが水のごとくに月光を享く
おほぞらに月と呼ばれるもののかげあの三輪山の背後をてらす
ものの影濃き秋の苑いちまいの絵のごとくして時とまり見ゆ
人妻の
美
は
しき日われは心飢ゆ黄落の森むごくにほへば
嫁がざる君をおもへばあめつちに秋白光のなだれゆくべし
星の夜の冷ゆる厨にひとつづつひかる林檎を包みゐる妻
狗子草
ゑのころぐさ
の穂が街の灯に透けてゐるレコード屋のあつた角をまがると
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