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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
三月の君の手を引き歩きたし右手にガーベラ握らせながら
をさなさははたかりそめの老いに似て春雪かづきゐたるわが髪
りんごひとつ手にもつ時に空深く果実に降るは果実の時間
この春は未来の息吹 二つの目縦に並べる人々歩む
かなしみを晒すごとくに灯のしたの林檎の皮に刃をくぐらせつ
振り向いてはいけない 翳る軒下に地蔵のように母の立ちいる
人事などもわもわとして春の夜のサッポロ一番やはり塩あぢ
さびしいを知らない人よ「さむいの」と膝をのぼってきてしがみつく
山頭火で三一〇円のラーメンを食べていたのが三月十日
ああ、娘は見なくてよかつたずんずんと迫りきたあの津波の黒を
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