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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
土井礼一郎
君は君のうつくしい胸にしまわれた機械で駆動する観覧車
見れるだけ爪を見ている少年の母の怒号を受けてる睫毛
増やしてもよければ言葉そのもののような季節があとひとつ要る
相槌がみづで笑ひが花だらうほそき花瓶のやうに話せり
ひと冬をひと冬なりに伸びておりはまなす色のセーターの襟
街路樹が百万の
灯
ひ
を点すころひつそりと神は瞼おろせり
空き缶を踏みつぶす音 この親にこの子と決めた神のゆびさき
割れ落ちたフロントガラスの隙間から流れ出てゆくほそながき猫
窓外にポップコーンのやうな雪降ると誌せりNさんの葉書
駆け引きの上手な海を見ならえばラブホから出てくる人の距離感
鳩の胸まろきをみれば鳩たちは一つの鋳型より造られる
卵もて食卓を打つ朝の音ひそやかに我はわがいのち継ぐ
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