コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
日高堯子
木の枡に米をはかりて月夜なり少しこぼれてゐる
生米
なまごめ
の色
とり入れに人働けばいづくにも稲の香があり沈む日
朱
あか
く
ホチキスよりぱちんと光るもの飛びて十月一日雲ひとつなし
木犀の香のふいにして空耳か呼ばれもせぬに返事している
鳳仙花の種で子どもを遊ばせて父はさびしい庭でしかない
ひと抱へかしこに置きてわすれたる穂芒は銀霊となりゐつ
穂すすきと薄茶献ずる月の宴女の齢は問はぬものにて
返事の来ない手紙を書きて出しにゆく赤きポストのある広場まで
「つき」と呼ぶ言葉なくせし病床に下弦の繊月ひたと見てゐつ
おお、おおと大桃を食べまんぞくの二歳のうしろ月がのぼりぬ
秋暑し芋虫と羽くつついてたそがれの国のてふてふとなる
九月十一日、展覧会の内ふかくしずもるゴッホの瞳を思う
投稿のページ送り
前のページ
固定ページ
1
…
固定ページ
3
固定ページ
4
固定ページ
5
…
固定ページ
14
次のページ