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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
三井 修
ぺらぺらの通勤定期の文字流れかすれたる頃、新品届く
それなりに背負うべきものもあるからか用紙がくぼむまで印を捺す
「コンセントを抜く」は間違ひ「プラグを」と直して節電の貼り紙とす
流れゆく川のきらめき木の間より見えずも聞ゆその川の音
第五演習室へ提げてゆく『中世の秋』 あきらめてきたもの
誰がために揚がる半旗かふくらんで刻々と風のかたちを示す
仕事終へ「また明日」といふ人のなくコトッと閉めぬ事務所のドアを
発音をせぬKの文字 ナイフもておのがいのちを裁ちし男よ
包丁で刺したる男「恨むならヒッタイトを恨め」と呟けり
どこまでが路と分らぬ濃霧なり戦場を人生を想ひつつ行く
今日一日身を鎧いいしジャケットの型くずれたり椅子の背が着る
寝入りばな何を騒ぐと服たちをタンスに叱ればケータイ現る
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