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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
ああなにかとぐろを巻けるかなしみが夜の故宮にしづんでゐたり
一袋の苗を抱へて過ぐるときいつせいに木々の視線は降り来
覗(のぞ)いてゐると掌(て)はだんだんに大きくなり魔もののやうに顔襲(おそ)ひくる
パブロ・ピカソさんらんとして地に死ぬをありあけの馬は見て忘れけむ
朝ごとに光のほうへ右折するバスの終点に行きしことなく
少年期のわが虐待を逃れ来し蝶かも知れずこの襤褸の蝶
キャンパスの全禁煙など説くありて正しきことはただにぞ寒き
仕事場の/小さい窓から覗かれる/灰色の空が自分の心だ
長居すれば住んでしまふと思ふのか飯食へばすぐに息子帰れり
コスモスを見てゐるのではなかつたと揺るるコスモス見ながら気づく
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