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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
吉田 隼人
腐れたる魚うをのまなこは光なし石となる日を待ちて我がゐる
ほのぐらきわがたましひの黄昏をかすかにともる黄蝋もあり
魂は人にむくろは我に露ながら夏野の夢のなごり碎くる
妖怪はいて怪獣はいなかった 帽子を脱いで沼を見ていた
きっぱりと降りる初霜 わたくしの嫌うひとにも苦しみはある
茫然と来りてまなこひきしむる生きいそぐもの蝶のいとなみ
壜詰の蟻をながしてやる夜の海は沖まで占領下なり
透明な魚を硝子の鉢に飼ふ少女は病める脊髄もちて
わがうちに崩壊しゆくものの音聞ゆるごとく窓に月照る
湖うみのほとり青の光につつまれて神はしだいに遠のきたまふ
かたはらにおく幻の椅子一つあくがれて待つ夜もなし今は
幻燈に青く雪ふる山見えてわれに言こと問うかえらざる声
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