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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
光森 裕樹
恋愛が恥ずかしかった夏 海を見るためだけに海に出かけた
観賞用金魚百匹と日を送る 観られているのは吾かもしれず
嘘ではない、嘘ではないがどこまでも滑らかである彼の言葉は
夜のでんしやに「もうだめだな」といふ人あり雨の言葉のやうに沁みくる
ベランダの手摺りに砂の残りいる会わぬと決めし人の掌のごと
かかわりのない伝言の前を過ぎてく
こうやって母もぼんやり眺めてたやかんの湯気が激しく沸つを
「ナイス提案!」「ナイス提案!」うす闇に叫ぶわたしを妻が揺さぶる
最上階のラウンジからの東京を宝石箱と呼んでいた頃
さようなら昼のアイロンこの家はもっと軽くていいはずだから
先生が指さすものをドイツ語で、いす、りんご、カーテン、これは、風
みなと風 吊り広告を取り替えるひとの眼鏡に虹は映れり
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