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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
前田 康子
自らの力出す如く焼かれゆくフライパンの中の一片の肉
この路をすきとほらせよ車椅子みづいろなればさかなもよりく
枯れすすきドライフラワーであることに気付けり風にふわふわ揺れて
残し置くものに未練はあらざれどうすきガラスのこの醤油差し
せとものゝひゞわれのごとくほそえだは淋しく白きそらをわかちぬ
駄菓子屋はグラジオラスも売りていき裏に小さき畑をもてば
秋風に見つつかなしも蟹ふたつ相寄り激流に沈みゆきたり
おしまい。と夕ぐれが云う窓が云うアイロン台の脚を折るとき
夜の路抱(だ)き歩みせし兒の足袋のぬげたる足の冷たかりしも
熱もたぬ夕赤ひかりしたたれり馬刀葉椎のしみらの葉群
うなだれし秋海棠にふる雨はいたくはふらず只白くあれな
遠山の時雨にしづむ昼つ方われと暮らしてさびしいか君
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