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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
大松 達知
耳掻きはたぶん黄泉にては不要ならむ生きをるもののためのこの形
絶間なく漕がれ続けてきしみ鳴る日常といふ脆きぶらんこ
会津野をほどろほどろに降り敷いて水雪(みづゆき)ほんにかなしかりける
茶碗三つ並べて置くよ幸福は夕暮れに来てしづかに坐る
あせたる を ひと は よし とふ びんばくわ の ほとけ の くち は もゆ べき もの を
風鈴の音の通りたるみずいろの穴見ゆ闇のところどころに
炭酸水のどいらいらとくだるとき覚えのなき記憶よみがへる
らつきようの玉かがやけるよろこびのごときを水に打たせてやりつ
撃たれたる少女の口より漏れ続く異国の言葉の「母」といふ語彙
人のかたち解かれるときにあおあおとわが魂は深呼吸せん
野の上の風に吹かるる青菜あり青菜は常にあたらしく見ゆ
おだやかな眼差しかへすキリンたちいつも遠くが見えてゐるから
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