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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
魚村 晋太郎
吾の生を矛盾だらけとあげつらひ秋刀魚食ひたり二匹食ひたり
口紅と座薬とジャムと練りからし冷ゆる冷蔵庫夏過ぎてより
時の骨むさぼるごとく生き来しと告げなば溶けむ夜天の月も
〈青とはなにか〉この問のため失ひし半身と思ふ空の深みに
生むことは来るべき死を与うこと秋の陽に蟻が運ぶなきがら
ぶどう・デラ 一房もぎて秋の陽に妊婦はあおき水透かしたり
恋人をそれぞれの胸が秘めている不思議さ行き交う人のシャツ見る
はてしなき夢魔におそはれゐるやうな一生(ひとよ)とはいへ 冷涼の秋
梨に刃を差し込みながらたしかめるどこまで君をわかっているか
人はみな見えない猿を背負(しよ)つてゐる華氏一〇二度の空に圧(お)されて
歳月の中にそよげる向日葵の幾万本に子を忘れゆく
あの胸が岬のように遠かった。畜生! いつまでおれの少年
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