コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
黒瀬 珂瀾
薄氷(うすらひ)の上を生きつつみひらけばきみ立ちて舞ふ月のおもてに
海嘯ののちのみぎはは海の香のあたらしくして人のなきがら
ハロー 夜。 ハロー 静かな霜柱。 ハロー カップヌードルの海老たち。
死者に逢ふ、ことだつてある……… 写真帖(アルバム)を繰るやうに街角を曲れば
竹・藁・葦こまかく堅く編みつぎてここにもモンスーン圏に生くる者たち
頬のつめたきはずのひとりをさがしつつ蕾のおほき庭を歩めり
木の匂ひ風がはこぶに銀漢の下に骨のなきにんげんの立つ
丈三尺伸びし黄菊や管(くだ)菊やビンラディン生きて逃がれよと思ふ
うなだれて洗ひつづけるこの世なる薄明かりなるひとつのあたま
敗け方の下手なわたしは点になるまでのひばりを又聞いている
籠に飼ふネズミは産みしばかりなるその仔を静かに食みをはりたり
右脇よりドレインに抜ける濁り水わが胸に棲む夕やけの色
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
…
固定ページ
8
固定ページ
9
固定ページ
10
…
固定ページ
13
次のページ