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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
一ノ関 忠人
ゆく春や とおく〈百済〉をみにきしとたれかはかなきはがききている
草原を駈けくるきみの胸が揺れただそれのみの思慕かもしれぬ
春がすみいよよ濃くなる真昼間のなにも見えねば大和と思へ
沈み果つる入日の際にあらはれぬ霞める山のなほ奥の峰
深山木のその梢とも見えざりし桜は花にあらはれにけり
白玉の美蕃登をもちて少女子は夜咲く花の嘆きするらむ
四月七日午後の日広くまぶしかりゆれゆく如しゆれ来る如し
石ばしる垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも
萱ざうの小さき萌を見てをれば胸のあたりがうれしくなりぬ
たれこめて春の行方も知らぬ間に待ちし桜もうつろひにけり
水漬く屍と死ぬべかりしを生きつぎて穢汚の裡に在るが宜しも
信濃路に帰り来たりてうれしけれ黄に透りたる漬菜の色は
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