コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
中津 昌子
春靄に濃くつつまれてうづくまる翁は抱けり零の明るさ
みづからを日日解き放てよ大空へおのれほどけてみなぎらふまで
同性を愛するけもの在りと聴き冬のくちびる水に寄せたり
出くはせる牛におどろき跳びのきし大松達知(たつはる)都会つ子なり
けものらは滴(しず)ける闇に骨を解き冬の韻(ひび)きのとおく聞こゆる
「嫌(や)な子だね」吾(あ)に母言へりうからとの写真も直立不動の姿勢
夕闇に人を渡してひとときはまぶしきものか如月の橋
如月(きさらぎ)の雨は時どき温(ぬく)く降る八つ手の花たちぱちぱち弾む
ちちのみの父の見のこしし夢ならむ咲きいそぎたる梅に雪降る
杉山に雪降りつづきなんでこう水墨画めく視界であるか
かぼすの酸残れる指に編む帽子はじめて冬を迎うつむりに
石(いは)ばしる垂水(たるみ)の上のさわらびの萌(も)え出づる春になりにけるかも
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
…
固定ページ
11
固定ページ
12
固定ページ
13
次のページ