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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
カテゴリー:
一首鑑賞
てふてふが一匹東シナ海を渡りきてのち、一大音響
魂のふるさとの海妖あやかしのよそへる色の月明りかな
あした産む卵を持ったままで飛ぶ 燕は川面すれすれにとぶ
銀の燭かすかに吊し目覚めては寝いねては青き花食べにけり
キリストの生きをりし世を思はしめ無花果いちじくの葉に蠅が群れゐる
機関庫の春のさびしさ鳩さへも白き翅はね染むその炭塵に
時々、ひばりは空にのぼりゆき人間のすることを見るのです
刺青は沖に菫の色もてりはてしなく海にそそぐ雪片
ジャングルジムに少年たちがぎっしりと本を読んだりぶらさがったり
夏ははや生いきの労いたづき苦しむか交つがひたる蝶むなしきに舞ふ
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