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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
梶原 さい子
火の息を鎮めて膝をわずか曲げ神事のごとしフリースローは
たて笛に遠すぎる穴があつたでせう さういふ感じに何かがとほい
動物園に行くたび思い深まれる鶴は怒りているにあらずや
われをめがけ降る雪のあれ たれのたれの脚注でもなき道をゆくとき
一段目に春が蔵われ五段目はふかぶかと冬 祖母の箪笥は
肌合はぬ人のよこせし年賀状三等に当りしを手に握りしむ
「百歳」と内緒ばなしのやうに言ふ祖母は十本の指をひろげて
粉雪にまみれし毛皮を喜びて蛮族のごとく帰りきたれり
一歩ずつ全世界足のうらにきて世界を移しながらの下山
〈ドイツ人対ポーランド人〉と言ひ換へてみればおそろしサッカーなれど
温かき尿放つときどこよりも女の
陰
ほと
は地に近き場所
列島を春の
潮
うしほ
のめぐるあさ木木はちからを引き合ひて立つ
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