コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
梶原 さい子
一年に一度の排水管掃除の日 やはりあの無愛想なサルトルがきた
抜けてきたすべての道は露に消え連続わたし殺人事件
一筵
ひとむしろ
の唐辛子のうへよぎらんと白猫はあかく燃えつつ燃えず
君を択び続けし歳月、水の中に水の芯見えて秋の水走る
安っぽき照明の下打ち解けてスープきらめくうどん啜れり
遠く來しもみぢの山にみづからの修羅見てめぐる 旅とはなに
わたくしのからだの影として思ふいつも遠くにひかる杉やま
救われることもすくうこともなく葡萄畑の上の三日月
〈めぼ賣ります〉と貼られし紙の邑過ぎて眩暈のごと國原ありき
一両で走る電車を風と呼ぶそう決めたひとりの多数決
詩はすべて「さみしい」という4文字のバリエーションに過ぎない、けれど
十月の跳び箱すがし走り来て少年少女ぱつと脚ひらく
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
固定ページ
2
固定ページ
3
固定ページ
4
…
固定ページ
13
次のページ