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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
山下 翔
逃げてたら余計に怖くなるからな 青天に薄い雲ばかり浮く
たつぷりと牡蠣の旨味をふふみたる土鍋の底の葱をたのしむ
やがて雨あしは強まり うつくしさ 遠くけぶったガードレールの
あかご泣くこゑはめざまし赤瓦ひくくのせたる家のうちより
警戒心なきゆえ棒で殴られて羽毛売られき日に何百羽
生きてると知らせてくれる名も知らぬ市から届いた扶養照会
静かなる自嘲湧きたるこの夕べ酒一合のはや胃に沁みぬ
来む春の更なる佳き日を希へれば雛納めまたたのしき仕事
浴身のしづけさならむやまなみの蒼きを曳きて月上がりをり
ひとしきり身じろぎなして葦群は立ち上がりたり風ゆきし後
東京の地下にラ・トゥールの絵と向ふ 絵のともしびはわが額照らす
さるすべりのうすももいろのすずしさはちかぢかとみる石畳のうへ
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