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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
三井 修
煙草の火貸して寄せ合ふ顔ありき あれは男の刹那の絆
翅ひろげ飛び立つ前の姿なす悲という文字のアシンメトリー
子をいつか困らせぬようアルバムは燃えざるリングのつかぬを選(よ)らん
しづかなるたたかひさながら春の雪吸はるるごとく木立に降りこむ
うごく手は罰せられたりははの手を安全帯なる布が縛れり
この家に女(をみな)をらねば鏡という鏡くもれり秋ふかむ中
金箔の厨子閉ざす夜のはるかより雪しづくする音のきこゆる
思うことなきときに酌みありて酌む遠き肥前の「六十餘州」
離陸する別れのつよさを繰り返し見てをり秋の空港に来て
折り畳み傘で造りの強い傘拡げて差して吹雪く道を行く
まはだかのことばひりひりはきはきと「二度ととうさんとはあそばない」
なきひとに会いにゆく旅ナトリウムランプのあかりちぎれちぎれて
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