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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
前田 康子
ブロッコリーの花を咲かせて生けている米寿の母のふしぎひろがる
散髪を終へたる頭持ち歩き何かひらめく寸前にあり
かげろうの卵にも似て街灯はわれらの帰る場所へつづけり
置時計よりも静かに父がいる春のみぞれのふるゆうまぐれ
死は意外に靜かなるものとその妻に言ひのこしたり醫として生きて
そうやって誰もがいなくなる夜をコップの底のように過ごした
わが顔に夜空の星のごときもの老人斑を悲しまず見よ
いちまいの紙切れのごとく置かれある日影をけさの幸と見ん
銀のビーズつなぎてゐたる雪の夜の初潮のごとく死はふいにくる
老いてなほ気どりて来るは我のみか白髪頭にデニムのいで立ち
地球ごと電源が落ち液晶といふ液晶が鏡に変はる
「このシーン雨降らせよう」と監督そんな感じだ結句の雨は
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