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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
澤村 斉美
たくさんの空の遠さにかこまれし人さし指の秋の灯台
大きなる手があらはれて昼深し上から卵をつかみけるかも
したたれる蒼さするどさ受けながら身はつくねんと秋空に向く
ふかぶかと背に包丁の入りしときびくんといさなの尾が跳ね上がる
夕皃(ゆふがほ)の花しらじらと咲めぐる賤(しづ)が伏屋に馬洗ひをり
このごろは近視がすすみ裸眼では生徒の群れがゲルニカに見ゆ
少年はあをきサロンをたくしあげかち渡り行く日向(ひなた)の河を
離れ住む朝(あした)の卓に皮膚うすきクロワッサンを互みに置けり
放射能も蚊取り線香で落ちちやえばいいのにね いいだらうね
夏帽のへこみやすきを膝にのせてわが放浪はバスになじみき
水のごと 身体をひたすかなしみに 葱の香などのまじれる夕
一束の野の青草を朝露と共に負ひゆく農婦に遇へり
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