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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
魚村 晋太郎
あるときは泣きたきほどに百合蕊の粉に塗れて戻る道なり
わかるとこに/かぎおいといて/ ゆめですか//わたしはわたし/あなたのものだ
内に飼い慣らす怪物 哄笑とともに若葉を吹くこの街で
生ひ出てそこを動かぬ木草らのもの思ふ日暮れ白き十薬
ひと日樹をしきりにゆすりなにごとか問ひゐし風もいつしか去りぬ
誰が決めし「母の日」というおろかさにワインがとどき日傘が届く
勝ち負けの淡くなりゆくわが生か 水木の花もいつしか終わる
交わってきたわたくしを抱くあなた キャベツのようにしんと黙って
男(お)の子とは空を漂ふ鯉のぼりコントラ・ヴェンテにわが身曝して
偶然を恃むことすでになくなりてゆきずりの店にスィートピー購(か)ふ
いくつもの昭和が過ぎて夜ふかく東野英治郎の赫きくちびる
草ボケの花は江戸期の飯盛(めしも)りの女の唇(くち)の紅色(べにいろ)に咲く
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