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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
岩尾 淳子
舟屋ってけっこう広いTシャツとカマスの干物が二月に吹かれ
硝子が森に還れないことさびしくてあなたの敬語の語尾がゆらぐよ
破壊もまた天使であるとグレゴリオ聖歌が冬の神戸を駆ける
高架下の長めに生きる猫たちに睨まれつつもかずを数える
絵本には死の苦しみが描かれぬと言ふ子の不満さいごまで聴く
はじめてのように見る虹 消えてゆく記憶のほうがいつでも多い
ふる花をひろいながらに来るこども遠く見ゆ遠けれどよく見ゆ
ひとり子の先立ちしマリアの老後など思つてをれば飯いひたきあがる
結婚二十年のひかりはどことなく凍蝶に似てしづかなひかり
飲みかけの缶コーヒーがあたたまる間もなく冷たくなって笑える
木の影とわたしの影のまじりあひとても無口な道となりたり
針葉樹は燃えやすい樹といつ誰に教はつたのか、空よ、夕焼け
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