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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
山下 翔
青き布ひろげてなにもなきごときいいぢやないかそれで山のみづうみ
〈どこからでも切れます〉とある小袋のどこをどうやってもダメな朝
蠟燭が花を大きな影にする きのふを明日とよびかへてみむ
ふとぶとと水を束ねて曳き落とす秋の滝、その青い握力
鯉幟でつくつたシャツを着てゆかう空の底なる夕べの酒肆へ
どの人も左巻きして傘を巻く北半球のタクシー乗り場
わんわんと蟬のこゑ降るこの国の引きこもる人百万を超ゆ
「夢のやうにたのしかった」と言ふをさなお盆休みの小さな旅に
夜の海 すこしあかるい黒が夜、暗くて濡れている黒が海
めざめるとひし形だった天井を正方形にちかづけて寝る
外の冷気まといこし猫かきいだく幼き子らを思いいだしつ
水澄まし季節に遅れ水を蹴る人を想うはひそかなこころ
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