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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
門脇 篤史
聖橋したにたむろする浚渫船ややに暴力の気配を帯びつ
落ち蟬に触れてするどき羽ばたきよ死ぬ間際まで生きてゐる蟬
こんなにもきれいにはずれる翅をもつ蟬はただひとたびの建物
ラップされ鮎は一点見つめおりその一点を家まで運ぶ
夕立をビニール傘で味はつて誕生日またすぎてゆくのみ
ちからある雨となりたり傘の上の響きを手首でうけとめながら
レシートは大丈夫です、と伝えればくしゃくしゃにされるパフェのレシート
絞りきるまでのレモンがじんわりと舌の在り処を教えてくれる
あと十円足りずに千円札を出すわづかに角の破れたるまま
夕顔のかなたに銀河の流れあり庭の辺しずかに水の光りて
肉体にすこし遅れてたましひは飛込台からいま宙にあり
本文に長い下線を引くときの波打際でぬれてゆく文字
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