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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
平岡 直子
夜にチョコあげよう石田三成もあげよう
三叉路でいつも迷っているゆえに木になってしまった紅さるすべり
父母がゆらゆらなづむ夕つ方サイボーグのやうにあたしは速い
時計より出(い)で来て踊る人形の目線は遠き夏木立かも
泣いたあと君の右腕枕にして線路のようにずっと恋人
花束を買ふよろこびに引きかえて渡す紙幣はわづかに二枚
純白のヨーグルトムースのうへにのるペパーミントの栄光と孤独と
イソジンの一滴がうむ夕闇の喉にいつかの迷子のわたし
水銀の鈍きひかりに夏がゆきしまわれてゆく女のかかと
夢でみた場所が出てきてこの先は崖と書かれていて引き返す
七月の日照(ひでり)の庭にちひさなるとかげ光りて見えかくりする
喫茶より夏を見やれば木の札は「準備中」とふ面をむけをり
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