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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
井上 法子
開けっ放しのペットボトルを投げ渡し飛び散れたてがみのように水たち
薄っぺらいビルの中にも人がいる いるんだわ しっかりしなければ
みりん甘くて泣きたくなつた銀鱈の皮をゆつくり噛む夏の夜
たつぷりと真水を抱きてしづもれる昏き器を近江と言へり
海に身体を預けるような冗長な語りをありがとう 初鰹
近い海が左手にひろがる景は 百日紅 いつの思い出だろう
転居先不明の判を見つめつつ春原さんの吹くリコーダー
五年後はプラスチックを使はないハッピーセット寂しくないよ
肺という三角州ありただいま、と言うときひどく海が泡立つ
裂けて地にある花びらに人間の童話を聞かす。五月某日
このくにの空を飛ぶとき悲しめよ南へ向かふ雨夜かりがね
春の夢たくさん詰めたふかふかの枕だったがかなりへこんだ
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