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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
山下 翔
死んだ白い兎の毛ゆびにつまみとる私の部屋着のカーディガンから
濃密な花のにほひを肉感にたぐへることはレシピにも似る
パブロンでなんとかなると信じたい 春なのにダウン着てねむります
足裏をくすぐるやうに沸きはじめ薪の匂ひが湯殿にこもる
藤棚に今年の若葉出でたればその葉仰ぎて久闊を叙す
ひとを吐きひとを吸ひゆく夕駅の漣の音はおもひみざりき
壊れさうなこゑで電話をしてきたるおお、おかあさんそれは詐欺です
食べてゐる途中で耳がとほくなる辛すぎた自家製タイカレー
四ツ谷から東京までを眠りたり花咲く窓を後ろに置いて
ふくらんでいく蚊の身体かるくなるわたしの身体 日暮れの駅に
木は老いて痩することなし梅の実のみどり重たく庭を統べつつ
グレープフルーツがどうしても食べたくてローソン100で買った包丁
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