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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
吉野 裕之
折る膝のなければ敗れし軍鶏はからだごと地へ倒れてゆけり
としどしに臘梅紅梅咲きつげばこのまま長く生きむ気のする
ねこバスが迎えに来ぬかと大きめの傘さして待つ雨のバス停
「聖家族教会」なんと作業中の工事現場にて教会にあらず
バスの中誰も声せず幼きがあーあとふかきかなしみもらす
ボルト屋が来てボルトのことながながと喋りてゆけりボルトかなしも
あ、蝉と思ふたちまち揃ひ鳴く 台風すでに外(そ)れたるならむ
そら豆をかみつぶすとき母はイランの神の顔する
伏せ置ける棚の茶碗のなかの闇茶碗の外の闇と異なる
くれなゐのつつじをまたぐ歩道橋いま天界の風ながれゐる
ラジオより天皇陛下の声聞こゆどうやら戦争がおわったらしい
ひそかなる盗みに似たりひとりなる姪を抱きて行く街のうら
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