コンテンツへスキップ
砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
大松 達知
風花の散るとき気づくパン抱きて俯き歩みゐしみづからに
白抜きの文字のごとあれしんしんと新緑をゆく我のこれから
人間の壊れ方にもいろいろとあるがわたしはひび割れている
〈燃えるゴミ〉の袋にたまる紙オムツわが父はもうだれにも勝てず
バゲットの長いふくろに描かれしエッフェル塔を真っ直ぐに抱く
やれやれ、と僕は思った。ぼんやりと村上春樹の文体に寄る
ひとりごとつぶやきながら節ぶしのゆるみはじめてゆくにゆだねつ
月させば梅樹は黒きひびわれとなりてくひこむものか空間に
教室を飛び出したTを追いかける 「t」の横棒みたいに翔んで
むらぎものいかなる闇に落つるらむ言ひさして熄(や)むことばひとひら
わたなかを照らせる月を見てをればわが現身のあかるむごとし
銀紙ごとチョコレート割るそのときに引き攣るやうな痛みを持てり
投稿ナビゲーション
前のページ
固定ページ
1
…
固定ページ
9
固定ページ
10
固定ページ
11
…
固定ページ
13
次のページ