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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
大松 達知
「はえぬき」の炊きたてを食む単純な喜びはいつも私を救う
初めより命と云へる悩ましきものを持たざる霧の消えゆく
ぺらぺらと業界用語で喋りだすぼくなんだけど誰だこいつは
ああなにかとぐろを巻けるかなしみが夜の故宮にしづんでゐたり
覗(のぞ)いてゐると掌(て)はだんだんに大きくなり魔もののやうに顔襲(おそ)ひくる
朝ごとに光のほうへ右折するバスの終点に行きしことなく
キャンパスの全禁煙など説くありて正しきことはただにぞ寒き
長居すれば住んでしまふと思ふのか飯食へばすぐに息子帰れり
今日こそは言わねばならぬ一行のような電車が駅を出てゆく
蟬たちの呻吟にけふの陽(ひ)は揺れて千年前のたそがれに逢ふ
学生帽目深くつけて歩(あり)くとき樹木のごとき思ひぞ我ら
人の声渦巻く中に眼つぶれば笑うというより咲いている君
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