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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
澤村 斉美
咲く花が群葉(むらは)の青を混へつつ濁りゆく日よ 父と呼ばれて
不実なる手紙いれてもわが街のポストは指を嚙んだりしない
桜花なべてさかしまに咲く池の面(も)に笑顔いくつか泣き顔となる
月光の夜ふけをつんと雪に立つ蓬(よもぎ)のこゑを聴きし者なし
りすが駆け抜けた気がして夜明けまで三校を見つ l(エル)一つ消す
風ゆきつもどりつ幌を鳴らすたび四月闌けゆく三月書房
浮彫(レリーフ)の校歌に夕のひかり射し家族は見上ぐ投票に来て
〝夕やみ〟と呼ばれてわれは振りかへる雑踏のなか探す目をして
雲雀啼く春の野にきてくぐもれるこころはひたに延びむとするも
福島弁を呑み込みて我はバスに乗る砂埃きらきらと光る朝なり
うつたうしき気分の父とカバを見るカバは目つむる花降るときを
家々に釘の芽しずみ神御衣(かむみそ)のごとくひろがる桜花かな
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