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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
澤村 斉美
今年またわが門前の若ざくらひらくがあわれ天つひかりに
セケン帝なる皇帝がいるらしいあの日の丸の赤の奥には
冬牛蒡せいせいと削ぐ時の間も詩語ほろび詩となる言葉あり
おまえの世界に存在しない俺の世界のほぼど真ん中ガムを噛んでいる
黄楊の葉にさがる蜘蛛の子うつつには見えざる糸をのぼりはじめつ
ラッシュアワー過ぎしホームに梯子もて時計の針をなおす人見ゆ
水喧嘩かなたに見えてかげりくる厩のさくら散りそめにけり
田楽を食いつつ見居り真上から眼をほそめ見る夕日の紅葉
秋のよるもう寒いねと傳八で品書(しながき)見をり おからがいいね
二度三度首をまわしてそのあわい人は窓から道を見下ろす
胸ぬちに凝れるものを告げ得ざる秋や五裂のもみぢ色づく
激情の匂いするみず掌(て)にためてわたしはすこし海にちかづく
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