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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
一ノ関 忠人
夜をこめて板戸をたたくは風ばかりおどろかしてよ吾子のかへると
六十年むかし八月九日の時計の針はとどまりき いま
よるべなく なほ南溟の空をとぶ。ああ戦友別盃の歌
ピカッドンと 一瞬の間の あの静寂 修羅と化すときの あの静寂
戦ひにわが友多く死ににけり昭和二十年ひとしく行年十五歳
紺いろに枝より垂るる茄子の実は悲哀のごとしふぐりの如し
宿ちかく花たちばなはほり植ゑじ昔をしのぶつまとなりけり
川そこの光消えたれ河郎は水こもり草に眼をひらくらし
枝蛙木ぬれひそかに鳴く声のきよらなるかも道細りつつ
伊香保ろの八尺の堰塞に立つ虹の現ろまでもさ寝をさ寝てば
わがはだか にえをすらしも。いしふねの肌に触りつつ― 夜にいりゆく
我が爪に深く食い入るくろき垢春深む夜の酔にきたなし
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