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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
三井 修
おもふさま隣の境越えて散る椿のあかき花おびただし
航跡をのこしつつヨット進む見え若年の未来はた還らざる過去
聞きながら胸痛くなるおさなごの泣き声弱まりくればなおさら
体重をかけながら刃を圧してゆく受け入れられて息の漏れたり
いもうとの戒名はやく憶えおり水に死す「遊水善童女」五つ
みづからの手に織りてゆく未来とぞ思ひしころの鍵が出てくる
萬葉ゼミいよよすたれて筋よきに狙ひをさだめ拉致するといふ
全線をPASMOに託し電車賃という距離感を喪いにけり
同じ目線に語らむとして屈みたり幼子もかがみわたしを見上ぐ
よそゆきの母としばらくぶりに会ふ黒いテリアの散らばるブラウス
かの批評うけしよりはたと歌成らず心をふかく嚙まれてゐたり
ふららこという語を知りてふららこを親しく漕げば春の夕暮
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