Archive for the '今日の一首鑑賞' category

ぼくの窓をかるくすりぬけ日本語のてざはりのない女の子たち

足のうらを剝がし剥がしてゆくことを歩くと呼べり生きると呼べり

義母のよそうご飯かと思い振り向けば紫陽花白く低く咲きおり

たちまちに声のみとなり行く鳥のゆふやけぞらの喉ふかくゆく

がんばったところで誰も見ていない日本の北で窓開けている

ざつとまたひと雨あらん包丁に水よくなじむ夏のゆふぐれ

チーズ濃く香る朝なり遠景に書物のごとき森ある九月

傘を差さなくていいほどの雨が降るという気象予報士の目を見てしまう

乳首透けたる服を纏へるをみならをよぎりて耳の無きゴッホまで

飛来するトンネルの穴つぎつぎに生きているまま吸いこまれたり

側溝を流れゆく水着脹(きぶく)れて家鴨(あひる)のような私を映す

新しい人になりたい 空調の音が非常に落ち着いている

月へするおびただしき數のアクセスとその切斷のお月見のよる

草臥れて立ち上がれない夜もある会社近くのドトールの隅

ドーナツに埋めようがない穴がありこんな時間に歯を磨いてる

ドーナツに埋めようがない穴がありこんな時間に歯を磨いてる

泣き濡れているのはわたし高いビル全部沈めて立つのはわたし

ほぐれない雲を保ってほほえみの兆しを見せるからほほえんだ

木香薔薇の配線は入り組みながらすべての花を灯してゐたり

斜めがけのカバンに入れた炭酸が尻ポケットのおさいふで弾む

ひらくもののきれいなまひる 門、手紙、脚などへまた白い手が来る

首すこしのびた気がする光降る秋をむかえに公園に行く

見ゆるもの見ゆるまま描け目から手はぢれったく月のごとく遠かり

プラスチックストロー廃止のニュースありスタバが世界を牽きゆくように

水族館(アカリウム)にタカアシガニを見てゐしはいつか誰かの子を生む器(うつは)

蜥蜴の尾あをくきらめくきざしくる生への意志は信じがたくも

いっこうにかまわない土地をとられてもその土地に虫がねむっていても

白梅の輪郭だけを光らせて夜の微雨去れり 悪の限りを

ふくふくと小さくなりゆくベビーバスわたしのことは忘れてもいい

酒とジュースのハーフはつねに酒なれど遺伝子はわれと子を分かちたり

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