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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
月:
2018年6月
批評めく言葉のあとのしずまりに病室(へや)に誰(た)がむく蜜柑がにおう
イソジンの一滴がうむ夕闇の喉にいつかの迷子のわたし
足裏の小さき白きが駆け抜ける土色のつち踏むわが心に
水銀の鈍きひかりに夏がゆきしまわれてゆく女のかかと
火星見えると地学部が全校放送し夜市のやうな屋上である
夢でみた場所が出てきてこの先は崖と書かれていて引き返す
食べることのできない人に贈るため花はあるのか初めておもう
七月の日照(ひでり)の庭にちひさなるとかげ光りて見えかくりする
はなびらの触れて生れたる水紋のいちばん外側のような夜
喫茶より夏を見やれば木の札は「準備中」とふ面をむけをり
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