2019年04月のアーカイブ

皇后陛下御歌/今しばし生きなむと思ふ寂光に園(その)の薔薇(さうび)のみな美しく

石川啄木/うつとりと/本の挿絵(さしゑ)に眺(なが)め入り、/煙草(たばこ)の煙(けむり)吹きかけてみる。

本日の花山周子さんの「日々のクオリア」は夜までにはアップするそうです。

中村亜裕美/速報を読みおえしあと掌にすこし遅れてくる震えあり

石川啄木/高山(たかやま)のいただきに登り/なにがなしに帽子(ぼうし)をふりて/下(くだ)り来(き)しかな

黒瀬珂瀾/中澤系の通夜より帰る美南ちやんに布袍の裾を摑ませながら

小池光/はるかなる野辺の送りに野球帽子とりて礼(いや)せり少年われは

中澤系/明日また空豆の殻を剥くだろう同じ力をかけた右手で

柏崎驍二/秋日照る林の岸のみむらさきうつくしければ帽脱ぎて見つ

夜までにはアップします。

安井高志/子供たちみんなが大きなチョコレートケーキにされるサトゥルヌス菓子店

木下利玄/指尖(ゆびさき)の傷の痛みにひゞけつゝ市街(まち)の電車のきしるわびしさ 2

山内頌子/猫トイレのシートがにおう もう替える必要のないシートもにおう

木下利玄/指尖(ゆびさき)の傷の痛みにひゞけつゝ市街(まち)の電車のきしるわびしさ 1

御供平佶/線路ゆく人のつらなりガラスなき前窓に見て警笛鳴らす

木下利玄/遲くつきし湯元の宿のくらき灯にわれ等の食べし黑き羊羹

曽川文昭/夕空を旅客機一機離り行き工学はいま文学を呼ぶ

木下利玄/黑き虻白き八つ手の花に居て何かなせるを臥しつゝ見やる

北川草子/安売りの洋書がパラフィン紙の下で花束みたいな音をたてる

木下利玄/磯町の床屋によりて髭剃れば鏡にうつり霰ふるなり

仙波龍英/夕照はしづかに展くこの谷のPARCO三基を墓碑となすまで

木下利玄/我が顔に靑き光を受けながら藪かげ草の肌身をのぞく

藤原龍一郎/散華とはついにかえらぬあの春の岡田有希子のことなのだろう

木下利玄/子供の頃皿に黄を溶き藍をまぜしかのみどり色にもゆる芽のあり

木俣修/行春(ゆくはる)をかなしみあへず若きらは黒き帽子を空に投げあぐ

黒木三千代/このごろは鳩がたつとき大いなる紙幣の束をばらす音する

馬淵のり子/看護師の手の甲のメモ三桁の数字見ながら血を採られおり

金野友治/冬の海荒れているらし嵩上げの防潮堤より海鳴り聞こゆ

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