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砂子屋書房 一首鑑賞
日々のクオリア
投稿者:
光森 裕樹
真夜中の電話口にて君に言う「死にたい」以外は全部嘘です
いましねばこれが遺影に使われる瞳にひかりがひしめくプリクラ
林檎ほどの火にてポットを温めつきみの聴けざるきみの寝言よ
なめらかなわたしの腕を撫でる手がわたし以外にあるべき、九月
ひとしきり思いを馳せる 自販機のしくみに まだ見ぬきみの新居に
昔からあった感じの葬儀屋の戸前にドライ・アイス・ボックス
アトラクション終わるみたいに叡電が出町柳のホームに参ります
誤って世界から離脱しないようわずかな尿意を残して眠る
救命の練習用の人形に雑にあけられている耳穴
そういえばもう長いこと空(青いやつです)色の空を見ていない
逝きかけの蟬を励ますこの夏にとくに未練はないはずなのに
獏たちが来たときに差し出す夜を祈りと思い出に分けておく
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